追悼の言葉
病室のベッドで「ありがとうございました」と合掌礼をされ、その後静かに息を引き取られたという近藤道文先生。最期まで「生き方」を全うされた先生でした。
近藤先生は、5年もの長い闘病生活を感じさせないくらいお元気で、これまでどおり海外に旅行されたり、愛車のパジェロに乗って本部に来られたり、とても行動的でした。常に前向きで、生きることを楽しんでいらしたように思います。
昨年の4月18日に、西条支部50周年記念事業「人づくりまちづくりシンポジウム」が行われ、その中で先生は「最近の国際社会の動向に危機感を感じ……このような企画をしました……。」とあいさつされました。「二度と戦争をしちゃいけない。そのための
人づくりを……」という開祖の志に共鳴され、50年間、少林寺拳法を通しての「人づくり」にこだわり、まい進してこられた入生の集大成だったのでしょう。
今まさに少林寺拳法の真価が聞われている状況において、そして創始60周年を2年後に控えて、先生に教えていただきたいことはまだまだたくさんありました。
近藤先生、これまでに数々のお力添えをいただき、ほんとうにありがとうございました。いつか一緒にジープで中国の奥地を旅しましょうよ…と言っていたのに残念です。
心からご冥福をお祈り申し上げます。そして長い闘病生活、ご苦労様でした。ゆっくりお休みください。
少林寺拳法グループ 総裁 宗 由貴
"正直者がバカを見ない世の中を一緒に造らんか"という呼びかけに魂を揺さぶられて、開祖の門下に加わって実に55年。道院長に就任されてからでも優に半世紀。
この間、一途に、ときには愚直とさえ言えるほどに、ひたすら開祖と総裁の二代にわたる側近として、金剛禅運動に枢要な役割を果たしてこられた先生を失ったことは、少林寺拳法グループ全体にとって、ただただ痛恨の極みというしかありません。
かねがね二人して「そろって創始60周年を迎えよう」と言い暮らしていました。末期癌を抱え、すでに3年も前に病院から、"これ以上打つ手なし"と匙を投げられながら、無類の気力と生命力の強靭さで、持ちこたえてこられただけに、約束が果たされぬままのお別れとなってしまったのが何より無念です。
いまわの際に、ベッドに座り直し、合掌礼の姿勢でひとわたり頭をめぐらし、「ありがとう」と絞り出すように言われ、そのまま息を引き取られたと伺いました。
今は、僭越ながら、金剛禅総本山少林寺を代表して改めて申し上げます。「近藤先生、私たちこそ、ありがとうございました」と。合掌再拝。
金剛禅総本山少林寺 代表 鈴木 義孝
2月25日朝、近藤道文先生の訃報の知らせが、本部より電話にて知らされました。
覚悟はしておりましたが、ただ悲しさよりも、何か寂しさが込み上げてきました。早速、今治副道院長の長谷川辰美君と西条に駆け付け、近藤先生にお逢いしました。仏というより、安らかな寝顔を見るようでした。肉体は滅びても、少林寺拳法の魂は生き続けることでしょう。人生の大半を少林寺拳法に捧げ、5年前に肝臓癌のことを知らされ、気一筋にて頑張ったと思います。
人生男子77年といいますが、たいへん残念でなりません。少林寺拳法も60歳が目前に迫り、せめて60周年を近藤先生はじめ愛媛県連盟のみんなで祝いたかったと残念でなりません。
愛媛県の第1号の道院長として、初代の理事長として、たいへんお世話になりました。近藤道文先生の少林寺拳法組織に対する貢献に心より感謝し、衷心より哀悼の意を表します。
愛媛県少林寺拳法連盟 理事長 合田 清一
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